急性心不全患者にダパグリフロジンは有益か:DICTATE-AHF
Efficacy and Safety of Dapagliflozin in Patients With Acute Heart Failure

カテゴリー
循環器
ジャーナル名
Journal of the American College of Cardiology
年月
April 2024
83
開始ページ
1295

背景

急性心不全(AHF)治療におけるSGLT2阻害薬ダパグリフロジン早期開始の利尿効果と安全性は。
アメリカLipscomb UniversityのCoxら(DICTATE-AHF)は、体液貯留が認められたAHF入院患者240名を対象として、これを検証する第3相RCTを行った(対照:通常治療)。一次エンドポイントは、利尿反応である。

結論

ダパグリフロジンと通常治療の間に一次エンドポイントの有意差はなかった。しかし、ダパグリフロジンは、通常治療と同等の体重減少を達成するためのループ利尿薬の投与量を減らし(560 mg vs. 800 mg)、静脈内 利尿薬増量回数を減らした。ダパグリフロジンの早期開始により、糖尿病・腎臓・心血管安全性イベントは増加しなかった。ダパグリフロジンは、24時間ナトリウム利尿作用および尿量中央値の改善と関連しており、退院を早めた。

評価

著者らは、一次エンドポイントの統計的有意性はなかったが、総合的データは、ダパグリフロジンの早期投与が新しいGDMTに組み込まれるべきことを支持している、と主張している。
AMIでempagliflozinがハードアウトカムに無効であった、というEMPACT-MIデータ(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2314051)と対照すると、慎重に受け取られるべき主張である。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(循環器)

Journal of the American College of Cardiology(JACC)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、American Heart Journal (AHJ)、Circulation、The Journal of the American Medical Association(JAMA)