UKPDSが、40年超長期追跡結果を発表:T2Dへの早期集中血糖コントロールは有益
Post-trial monitoring of a randomised controlled trial of intensive glycaemic control in type 2 diabetes extended from 10 years to 24 years (UKPDS 91)
背景
1977〜97年に行われたUKPDS(United Kingdom Prospective Diabetes Study)は、新規診断2型糖尿病(T2D)患者5,102名を対象とした20年間にわたる大規模RCTで、スルホニル尿素薬またはインスリン療法、あるいはメトホルミン療法による集中的血糖コントロールの臨床的メリットを示した。試験後10年間の追跡調査では、治療効果の持続性が示されている。
イギリスChurchill HospitalのHolmanらは、追跡調査をさらに14年間延長し、効果持続性を検証した。一次アウトカムは、糖尿病関連エンドポイント・糖尿病関連死亡・全原因死亡・心筋梗塞・脳卒中・末梢血管疾患・微小血管疾患である。
結論
2007〜2021年で、参加者1525名の97.6%のNHS収集データにリンクした(ベースライン平均年齢 50.2歳)。追跡期間中央値17.5年(80,724人年)、試験終了後最大24年間で、血糖値とメトホルミンのレガシー効果は衰えなかった。スルホニル尿素薬またはインスリン療法による早期の強化血糖コントロールは、従来型血糖コントロールと比較して、全死因死亡の相対リスクを10%、心筋梗塞の相対リスクを17%、微小血管疾患の相対リスクを26%低減した。対応する絶対リスク減は、各2.7%・3.3%・3.5%であった。メトホルミン療法による早期集中血糖コントロールは、従来型血糖コントロールと比較して、全死因死亡を20%、心筋梗塞の相対リスクを31%低減した。対応する絶対リスク減は、各4.9%・6.2%であった。
評価
おそらく、これまで最長の臨床試験後追跡分析で、1998時点での結果(https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(98)07019-6/abstract)を、四半世紀後に確認した、記念碑的論文である。結論自体はすでに常識化しているが、ここの「レガシー効果」を説明しうる病態生理学的メカニズムは、依然として不明である。