ICU人工呼吸器患者にPPIを投与しても死亡率は変わらず:REVISE試験
Stress Ulcer Prophylaxis during Invasive Mechanical Ventilation

カテゴリー
救急医療、Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
June 2024
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背景

重症患者ではストレスに起因する胃腸潰瘍のリスクがあり、プロトンポンプ阻害薬(PPI)などの投与により、上部消化管出血のリスクを予防する戦略が採られてきたが、死亡率への効果は実証されておらず、その価値は疑問視されている。
カナダMcMaster UniversityのCookら(REVISE)は、世界8ヵ国68施設の集中治療室で侵襲的換気を受けている成人患者を対象に、パントプラゾール(1日40 mg)またはプラセボの静注を割り付け、臨床的に重大な上部消化管出血への効果を検証する国際RCTを実施した(n=4,821)。

結論

90日以内に臨床的に重要な上部消化管出血を発症した患者の割合(一次アウトカム)は、パントプラゾール群で1.0%、プラセボ群で3.5%であった(HR 0.30)。90日死亡率はパントプラゾール群29.1%、プラセボ群30.9%であった(0.94)。
人工呼吸器関連肺炎やClostridioides difficile感染など、他の主要二次アウトカムについて群間差はみられなかった。

評価

パントプラゾールにより重大な上部消化管出血は減少したものの、SUP-ICU試験(http://doi.org/10.1056/NEJMoa1714919)などと同じく、死亡率はプラセボ群と同等であった。
NEJM Evidence誌で同時に発表されたメタアナリシス(https://doi.org/10.1056/EVIDoa2400134)は、PPIの死亡への効果が重症度に関連する可能性を示唆しており、今後の検証課題となる。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)