ICU人工呼吸器患者にPPIを投与しても死亡率は変わらず:REVISE試験
Stress Ulcer Prophylaxis during Invasive Mechanical Ventilation
背景
重症患者ではストレスに起因する胃腸潰瘍のリスクがあり、プロトンポンプ阻害薬(PPI)などの投与により、上部消化管出血のリスクを予防する戦略が採られてきたが、死亡率への効果は実証されておらず、その価値は疑問視されている。
カナダMcMaster UniversityのCookら(REVISE)は、世界8ヵ国68施設の集中治療室で侵襲的換気を受けている成人患者を対象に、パントプラゾール(1日40 mg)またはプラセボの静注を割り付け、臨床的に重大な上部消化管出血への効果を検証する国際RCTを実施した(n=4,821)。
結論
90日以内に臨床的に重要な上部消化管出血を発症した患者の割合(一次アウトカム)は、パントプラゾール群で1.0%、プラセボ群で3.5%であった(HR 0.30)。90日死亡率はパントプラゾール群29.1%、プラセボ群30.9%であった(0.94)。
人工呼吸器関連肺炎やClostridioides difficile感染など、他の主要二次アウトカムについて群間差はみられなかった。
評価
パントプラゾールにより重大な上部消化管出血は減少したものの、SUP-ICU試験(http://doi.org/10.1056/NEJMoa1714919)などと同じく、死亡率はプラセボ群と同等であった。
NEJM Evidence誌で同時に発表されたメタアナリシス(https://doi.org/10.1056/EVIDoa2400134)は、PPIの死亡への効果が重症度に関連する可能性を示唆しており、今後の検証課題となる。