アセトアミノフェンは敗血病患者の臓器不全を予防しない:ASTER
Acetaminophen for Prevention and Treatment of Organ Dysfunction in Critically Ill Patients With Sepsis: The ASTER Randomized Clinical Trial
背景
アセトアミノフェンは、遊離ヘモグロビンによる酸化の抑制を介して、重症患者の死亡率を改善する可能性が示唆されている。
アメリカVanderbilt University のWareら(ASTER)は、同国40の大学病院の救急外来・集中治療室で、呼吸器または循環器の臓器機能障害を有する敗血症患者を登録し、6時間おきのアセトアミノフェン1 gまたはプラセボの静注を割り付け、28日目までの臓器サポート不要な生存日数を比較する第2b相RCTを実施した(n=447)。
結論
アセトアミノフェンは安全で、肝酵素・血圧低下・体液バランスに群間差はなかった。
28日目までの臓器サポート不要な生存日数は、アセトアミノフェン群で20.2日、プラセボ群で19.6日と差はなかった。15の二次アウトカムのうち、SOFA総スコア・呼吸器スコア・凝固能スコアはアセトアミノフェン群で有意に低く、7日目までの急性呼吸窮迫症候群の発症率もアセトアミノフェン群で有意に低かった(2.2% vs. 8.5%)。
遊離ヘモグロビン値とアセトアミノフェンの間には有意な相互作用は認められなかった。
評価
ARDSの発症率がアセトアミノフェン群で低下したものの、一次アウトカムに差はなかった。ただ、探索的解析では、遊離ヘモグロビン値が高い患者でアセトアミノフェンの有効性が示唆されており、これらの患者に絞った検証が行われるかもしれない。


