血栓溶解療法のための降圧は必要なのか?
Safety and efficacy of active blood-pressure reduction to the recommended thresholds for intravenous thrombolysis in patients with acute ischaemic stroke in the Netherlands (TRUTH): a prospective, observational, cluster-based, parallel-group study
背景
脳梗塞に対する血栓溶解療法では、血圧高値がリスク因子であり、降圧薬の投与によっても180/110 mmHg以上の患者は適応外となる。ただ、血圧の急激な低下もアウトカムに悪影響を与える可能性があり、積極的降圧が妥当な戦略であるかは明らかではない。
オランダAmsterdam University Medical CentersのZonneveldらは、同国37施設で、180/110 mmHg以上であるが、それ以外の適応外(禁忌)項目のない虚血性脳卒中患者に対して、積極的降圧戦略または非降圧戦略を行う、クラスター並行群間比較を行う前向観察試験を実施した。
結論
組み入れ率の低下と資金の不足により、2022年1月、試験は早期中止された。積極的降圧戦略を採用した27施設から853名、非降圧戦略を採用した10施設から199名が登録された。
90日時点での機能的アウトカム悪化の調整オッズ比は、非降圧戦略と比較して、積極的降圧戦略で1.27であった。積極的降圧戦略群では94%が静注血栓溶解療法を受け、door-to-needle時間は35分であった。対して非降圧戦略群では52%が血栓溶解療法を受け、door-to-needle時間は47分であった。
症候性頭蓋内出血は積極的降圧戦略群の5%、非降圧戦略群の3%で認められた(調整オッズ比 1.28)。
評価
積極的降圧により、患者の大半が血栓溶解療法を受けることができたものの、機能的アウトカムは非有意ながら、積極的降圧群で悪化する傾向がみられた。
血栓溶解療法の前に降圧薬を用いるべきか、RCTによる検証が求められる。


