院外心停止の生存率が良いEMSはどのような実践を行っているのか?
Emergency Medical Service Agency Practices and Cardiac Arrest Survival
背景
院外心停止(OHCA)の生存率は、救急医療サービス(EMS)によって大きな幅があることが報告されているが、各EMS機関のプラクティスはOHCA生存率にどのように影響を与えているのか?
アメリカUniversity of Texas Southwestern Medical CenterのGirotraらは、Cardiac Arrest Registry to Enhance Survival(CARES)に参加する年間10例以上のOHCAを経験する機関の、2015〜2019年のデータを用いて、蘇生に関連する各機関の実践とOHCA患者の神経学的良好生存率との関連を検討した。
結論
リスク標準化された神経学的良好生存率は平均8.1%であった。
トレーニングに関する実践として、シミュレーションを用いた心肺蘇生(CPR)能力の評価、新人では6ヵ月に1回以上の再評価、完全な多人数シナリオでのシミュレーション、6ヵ月に1回以上のシミュレーション・トレーニング、1年に1回以上の自動心マッサージ器使用のトレーニング、の5つが神経学的良好生存率と関連した。また、蘇生・搬送に関する実践として、フィードバックデバイスを用いたCPR、指定された心停止・STEMIセンターへの搬送、が神経学的良好生存率と関連した。
神経学的良好生存率が高い(最高四分位)EMS機関では、7つの実践のうち4つ以上を採用している機関が多かった(59.3%)。
評価
アメリカの人口の半分をカバーするCARESのデータから、OHCAの成績が良いEMSの特徴を明らかにした。蘇生の質を高め、OHCA生存率を向上させるための、貴重な知見である。