セマグルチドのT2D・CKD患者への腎保護効果を確定:FLOW試験
Effects of Semaglutide on Chronic Kidney Disease in Patients with Type 2 Diabetes
背景
GLP-1受容体作動薬セマグルチドは、慢性腎臓病(CKD)のある2型糖尿病(T2D)患者に有益か。
オーストラリアUniversity of New South WalesのPerkovicら(FLOW)は、T2DおよびCKD(eGFR 50〜75 ml/min/1.73m2でUACR 300〜5,000 mg/g、あるいはeGFR 25〜50 ml/min/1.73m2でUACR100〜5,000 mg/g)の患者3,533名を対象として、これを検証する第3相試験を行った(対照:プラセボ)。一次エンドポイントは、腎不全発症(透析、移植、またはeGFR 15 ml/min/1.73m2未満)、ベースラインからのeGFRの少なくとも50%の低下、または腎臓関連または心血管系因による死亡の複合である。
結論
追跡期間中央値3.4年で、セマグルチドの一次エンドポイント効果を認めた(HR:0.76)。腎臓特異因死亡(0.79)・心血管因死亡(0.71)への効果は同等であった。平均年間eGFR勾配・主要心血管イベントリスク・全死因死亡リスク(二次エンドポイント)でも実薬が優った。重篤有害事象は、実薬群がやや少なかった。
評価
Novo Nordisk社基金による大規模研究で、すでに他目的試験結果の二次解析から予測されていた同薬の腎保護効果を、初めて本格的に立証した。糖尿病性腎臓病の治療薬としてのFDA承認は確実である。著者らは、既存データ解析と動物実験結果から、同薬の腎保護効果がT2D・心血管系への効果の二次結果でなく、一次的直接効果である可能性を示唆しており、もしそうであるなら、ユニークなCKD治療薬となる可能性もある。