うつ病と心血管疾患の関連には男女差がある:日本研究
Sex Differences in the Association Between Depression and Incident Cardiovascular Disease
背景
抑うつは、確立された心血管疾患(CVD)のリスク因子であるが、抑うつとCVDの関連に男女差はあるのか?
日本Kyoto Prefectural University of Medicine(京都府立医科大学)のSenooらは、2005〜2022年に会社員とその家族であった個人を対象としたレセプトデータベース、JMDC Claims Databaseを用い、男女別に抑うつとCVDイベント(心筋梗塞・狭心症・脳卒中・心不全・心房細動)の関連を評価する後向解析を実施した(n=4,125,720)。
結論
抑うつは男性の4.2%、女性の4.5%に認められた。
CVD罹患に対する抑うつのハザード比は、男性で1.39、女性では1.64と、性別による修飾が認められた。また、心筋梗塞・狭心症・脳卒中・心不全・心房細動のすべてについて性別の有意な相互作用が認められ、女性の方が関連が強かった。
評価
レセプトデータを用いた大規模な観察コホート研究により、うつとCVDの関連は女性の方が強固であることを明らかにした。
同様の性差を示唆する研究は他にもあり、女性特有のリスクに応じた予防戦略を立てる上でも、根底にあるメカニズムの解明が急務となる。