高齢者への降圧薬治療は認知症リスクを軽減するか
Risk of Dementia During Antihypertensive Drug Therapy in the Elderly
背景
高齢者への降圧薬治療により認知症発症を抑制できる、という仮説がある。
イタリアUniversity of Milano-BicoccaのReaらは、2009〜2012年に降圧薬の服用を開始したイタリア高齢者を対象に、降圧薬治療が認知症リスクに及ぼす影響を評価するケース・コントロール研究を行った(n=[症例]13,812, [対照]69,060)。一次アウトカムは、認知症またはアルツハイマー病の発症である。
結論
降圧薬への曝露が非常に少ない患者と比較して、曝露が少ない患者、中間的な患者、多い患者は、各2%、12%、および24%一次アウトカムリスクが減少していた。超高齢者(85歳以上)およびフレイル患者の部分集団でも同様であった。
評価
降圧薬の高齢者の認知症発症予防効果について不一致の研究が多い中で、十分な規模の観察研究で「有効」を支持した。優れた系統レビュー・メタアナリシスの出現が待たれる。降圧薬使用によるアルツハイマー病発症抑制の可能性を検討した論文の系統レビューは、ARB(アンジオテンシン受容体拮抗薬)が効果的である可能性を示唆している(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36281676/)。