飲酒関連で救急を受診した青少年はその後の死亡リスクが高い
Mortality in adolescents and young adults following a first presentation to the emergency department for alcohol

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
Academic Emergency Medicine
年月
March 2024
31
開始ページ
220

背景

アルコールを原因として救急外来を受診する頻度が高い患者では、1年以内の死亡リスクが上昇することが報告されている(https://doi.org/10.1503/cmaj.191730)。こうした関連が思春期・若年成人(AYA)世代のアルコール関連受診についても妥当するかは不明である。
カナダOttawa Hospital Research InstituteのHarrisonらは、同国オンタリオ州のヘルスケアシステムの2009〜2015年のデータ(n=2,166,838)を用い、AYA世代(12〜29歳)におけるアルコール関連の救急外来受診の死亡リスクを、非アルコール関連受診と比較する後向コホート研究を実施した。

結論

AYA世代の救急受診の3.3%にあたる、71,776名がアルコール関連の受診であった。男性が56.1%、年齢は平均20.7歳であった。
AYA世代の受診者のうち2,396名が1年以内に死亡しており、うち248名(10.3%)がアルコール関連の受診者であった。アルコール関連の初回救急受診は、1年後の死亡リスクが3倍高かった(0.35% vs. 0.10%, 調整ハザード比 3.07)。
死亡と関連する因子として、25〜29歳、男性、メンタルヘルス・薬物使用歴、離脱症状/依存症による受診、頻回受診があった。死亡の原因としては、外傷が最も多く(42.7%)、非オピオイド薬物による中毒(38.3%)、アルコール(28.6%)が続いた。

評価

カナダにおけるこの調査では、AYA世代の救急受診の3%がアルコール関連であり、アルコール関連で受診した患者はその後の死亡リスクが有意に高かった。
支援機関への接続が必要な集団であり、特定されたリスク因子はより緊密なフォローアップを必要とする患者の特定に有用だろう。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)