キシリトールは心血管リスク?
Xylitol is prothrombotic and associated with cardiovascular risk
背景
キシリトールは齲蝕の発生を予防する効果が認められ、ガムなどに配合されている糖アルコールであるが、このキシリトールに意外なリスクを報告する研究が現れた。
アメリカCleveland ClinicのWitkowskiらは、心臓の診断的評価を受けた安定患者の発見コホート(n=1,157)において血漿サンプルを用いたノンターゲットメタボローム研究を行い、独立した検証コホート(n=2,149)において同位体希釈・液体クロマトグラフィー/質量分析(LC-MS/MS)を実施した。
さらに単離血小板、多血小板血漿、全血、動物モデルにおいてキシリトールが血小板反応性・血栓形成に与える影響を検討し、最後に健康ボランティア被験者(n=10)においてキシリトール摂取による血小板機能への影響を評価した。
結論
発見コホートでのノンターゲットメタボローム研究では、循環血中の糖アルコールレベルは主要有害心血管イベント(MACE)の3年罹患リスクと関連した。検証コホートでのLC-MS/MS分析では、キシリトールのMACE罹患リスクとの関連が確認された(第3三分位と第1三分位の調整ハザード比 1.57)。
補完的なメカニズム研究では、キシリトールが空腹時血漿における血小板反応性・血栓形成の指標を増強することが認められた。健康被験者での介入研究では、キシリトール甘味飲料の摂取により、血小板反応性が上昇することが示された。
評価
以前(https://doi.org/10.1038/s41591-023-02223-9)、エリトリトールでほぼ同様の検証を行ったチームが、キシリトールにおいてもMACE発症リスクとの関連、血小板機能との関連を明らかにした。
いずれも一般に安全と考えられ、広く使用されている甘味料であり、より詳細な調査が求められる。