アスピリンの乳がん再発予防効果は認められず:ABC試験
Aspirin vs Placebo as Adjuvant Therapy for Breast Cancer: The Alliance A011502 Randomized Trial
背景
炎症はがんの発生・進展に関与していることが認められており、アスピリンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)をがん治療へ追加し、効果を検証する臨床試験が行われてきた。
アメリカDana Farber Cancer InstituteのChenら、(ABC試験:Alliance A011502)は、アメリカ・カナダの高リスクII期/III期乳がん患者を、5年間・毎日300 mgのアスピリンまたはプラセボの服用へと割り付け、無浸潤性疾患生存を比較する第3相RCTを実施した。
結論
最初の中間解析で、事前指定無益性基準により試験は中途終了した(n=3,020)。
フォローアップ期間33.8ヵ月(中央値)で、アスピリン群の141名、プラセボ群の112名に一次アウトカム(無浸潤性疾患生存)イベントが認められた(ハザード比 1.27)。死亡、浸潤性の病勢進行、新規発症イベントの群間差は有意ではなく、全生存についても有意差はなかった(ハザード比 1.19)。
評価
大腸がんについてはすでに予防効果が認められているアスピリンだが、乳がん再発を抑制する効果は認められなかった。
乳がん・大腸がんを含む4コホートでアスピリンの二次予防効果を検証する大規模試験、Add-Aspirin試験が残されているが(NCT02804815)、COX-2阻害薬も含む先行試験のネガティブ結果も鑑みれば、アスピリンやNSAIDsによる乳がん予防は望み薄かもしれない。