アメリカの心臓移植マッチングに人種・性別バイアス
Differences in Donor Heart Acceptance by Race and Gender of Patients on the Transplant Waiting List

カテゴリー
循環器、Top Journal
ジャーナル名
The Journal of the American Medical Association
年月
March 2024
331
開始ページ
1379

背景

アメリカの心臓移植におけるドナー・レシピエントマッチングに、人種・性別バイアスはあるか。
アメリカIndiana UniversityのBreathettらは、United Network for Organ Sharingのデータセットを用い、ドナー13,760名と待機リスト登録者14,890名に関する159,177件のオファーのバイアスを評価するコホート研究を行った。
一次アウトカムは、移植センターチームによるオファーの受け入れである。

結論

オファーの累積受理率において人種・性別の層間で統計的有意差があった[白人女性が最も高く、次いで黒人女性、白人男性、黒人男性の順であった(P<0.001)]。
最初のオファーから16回目のオファーまでの受諾のオッズは、白人候補者よりも黒人候補者の方が低かった(オッズ比 0.76)。受諾のオッズは、最初のオファー(1.53)から6回目までは男性より女性の方が高く、10回目から31回目までは女性の方が低かった。

評価

この問題を明確に主題化した最初の最大研究とみられ、白人女性が最も有利で、黒人男性が最も不利、という興味深い事実を見出した。著者らは、ここでのデータが、マッチングにおける人種・性別バイアスの存在を示唆している、としている。マッチングは一次的にはアルゴリズムで行われるが、最終意思決定は施設毎に少人数が行う。その実情に関しては、ほとんど不祥である。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(循環器)

Journal of the American College of Cardiology(JACC)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、American Heart Journal (AHJ)、Circulation、The Journal of the American Medical Association(JAMA)