アメリカの心臓移植マッチングに人種・性別バイアス
Differences in Donor Heart Acceptance by Race and Gender of Patients on the Transplant Waiting List
背景
アメリカの心臓移植におけるドナー・レシピエントマッチングに、人種・性別バイアスはあるか。
アメリカIndiana UniversityのBreathettらは、United Network for Organ Sharingのデータセットを用い、ドナー13,760名と待機リスト登録者14,890名に関する159,177件のオファーのバイアスを評価するコホート研究を行った。
一次アウトカムは、移植センターチームによるオファーの受け入れである。
結論
オファーの累積受理率において人種・性別の層間で統計的有意差があった[白人女性が最も高く、次いで黒人女性、白人男性、黒人男性の順であった(P<0.001)]。
最初のオファーから16回目のオファーまでの受諾のオッズは、白人候補者よりも黒人候補者の方が低かった(オッズ比 0.76)。受諾のオッズは、最初のオファー(1.53)から6回目までは男性より女性の方が高く、10回目から31回目までは女性の方が低かった。
評価
この問題を明確に主題化した最初の最大研究とみられ、白人女性が最も有利で、黒人男性が最も不利、という興味深い事実を見出した。著者らは、ここでのデータが、マッチングにおける人種・性別バイアスの存在を示唆している、としている。マッチングは一次的にはアルゴリズムで行われるが、最終意思決定は施設毎に少人数が行う。その実情に関しては、ほとんど不祥である。