小さいバッグを用いたBVM換気は心停止患者の自己心拍再開率を低下させる?
Association of small adult ventilation bags with return of spontaneous circulation in out of hospital cardiac arrest
背景
心肺蘇生時の過度な換気は、胸腔内圧を上昇させ静脈還流の阻害につながるため、過換気の回避が重要であると考えられている。
アメリカUniversity of WashingtonのSnyderらは、より小さいバッグバルブマスク(BVM)への切り替えが行われたシアトルで、2015〜2021年に高度な気道確保が行われた非外傷性院外心停止患者(n=1,994)を対象とした後向解析を行い、BVMの変更が自己心拍再開(ROSC)に与える影響を評価した。
結論
期間中、67%にあたる1,331名が小さいBVMによる治療を受けた。
救急隊員による治療が終了する時点でのROSC達成率は、小型BVMコホートで低かった(33% vs. 40%, 調整オッズ比 0.74)。換気回数にはコホート間で同等であった。換気の指標となるETCO2は、大型BVMコホートで低かった(33.2 mmHg vs. 36.9 mmHg)。
評価
過換気を抑制するために行われたBVMサイズの切り替えであったが、意外にも、小型バッグに切り替えられて以降の患者でROSC率の低下傾向がみられた。
あくまで前後研究であり、単独で既存のエビデンスに影響を与えるデータとは言えないが、心肺蘇生における換気の役割には依然、未解明な部分がある。