小さいバッグを用いたBVM換気は心停止患者の自己心拍再開率を低下させる?
Association of small adult ventilation bags with return of spontaneous circulation in out of hospital cardiac arrest

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
Resuscitation
年月
December 2023
193
開始ページ
109991

背景

心肺蘇生時の過度な換気は、胸腔内圧を上昇させ静脈還流の阻害につながるため、過換気の回避が重要であると考えられている。
アメリカUniversity of WashingtonのSnyderらは、より小さいバッグバルブマスク(BVM)への切り替えが行われたシアトルで、2015〜2021年に高度な気道確保が行われた非外傷性院外心停止患者(n=1,994)を対象とした後向解析を行い、BVMの変更が自己心拍再開(ROSC)に与える影響を評価した。

結論

期間中、67%にあたる1,331名が小さいBVMによる治療を受けた。
救急隊員による治療が終了する時点でのROSC達成率は、小型BVMコホートで低かった(33% vs. 40%, 調整オッズ比 0.74)。換気回数にはコホート間で同等であった。換気の指標となるETCO2は、大型BVMコホートで低かった(33.2 mmHg vs. 36.9 mmHg)。

評価

過換気を抑制するために行われたBVMサイズの切り替えであったが、意外にも、小型バッグに切り替えられて以降の患者でROSC率の低下傾向がみられた。
あくまで前後研究であり、単独で既存のエビデンスに影響を与えるデータとは言えないが、心肺蘇生における換気の役割には依然、未解明な部分がある。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)