DOAC服用中患者に脳梗塞が発生したら、そのDOACは変更すべきか
Changing or Retaining Direct Oral Anticoagulant After Ischemic Stroke Despite Direct Oral Anticoagulant Treatment
背景
DOAC服用中患者に脳梗塞が発生した場合、そのDOACは変更すべきか?
台湾National Taiwan UniversityのLinらは、同国健康保険データを基に、心房細動によりDOAC服用中の患者で2013〜2020年に虚血性脳卒中を発症した2,853例を抽出し、DOACの変更が、その後のイベント発生に及ぼす影響を検討した。一次アウトカムは、虚血性脳卒中あるいは一過性脳虚血発作である。
結論
一次アウトカムに、DOAC変更群・非変更群間の有意差はなかった(HR 1.07)。頭蓋内出血の発生は、DOAC変更群で非有意に多かった(HR 1.49)。全身的血栓・塞栓症、重大出血、死亡の発生頻度に群間差はなかった。
評価
処方DOACは、リバロキサバン44.4%、ダビガトラン33.2%、アピキサバン12.2%、エドキサバン10.1%であった。血栓性一次アウトカムに差がなかったものの、頭蓋内出血の頻度がDOAC変更群で多い可能性は拭いきれず、さらなる検証が必要である。しかし、ワルファリンを含む抗凝固薬投与中患者の脳梗塞後での抗凝固薬の変更がもたらす効果に関しては、欧米の先行研究は否定的である。ここでの結果と綜合すると、現在のところ、変更は特に推奨はされない、ということになる。