腎移植後の皮膚がんに免疫チェックポイント阻害治療は可能か
Nivolumab + Tacrolimus + Prednisone ± Ipilimumab for Kidney Transplant Recipients With Advanced Cutaneous Cancers
背景
臓器移植後の患者では、免疫抑制剤の使用により皮膚がんをはじめとした悪性腫瘍のリスクが増大する。免疫チェックポイント阻害薬はこの集団に対して奏効を示す可能性があるが、拒絶反応などのリスクから免疫療法に関する臨床試験から除外されてきた。
アメリカBozeman Health Deaconess Cancer CenterのSchenkらは、進行した黒色腫、または基底細胞がん・皮膚扁平上皮がん・メルケル細胞がんを有する腎移植レシピエントを対象に、タクロリムス+プレドニゾンに加えてニボルマブを投与し、進行が認められた患者ではイピリムマブ+ニボルマブ投与を行う前向臨床試験を実施した。
結論
評価可能な8名の患者のうち、病勢安定以上の効果(一次エンドポイント)が認められた患者はいなかった。
全員が病勢進行となり、うち6名がイピリムマブ+ニボルマブの投与を受けた。このうち2名は完全奏効(1名は治療関連移植片喪失を伴う)、4名は病勢進行(1名は治療関連移植片喪失を伴う)となった。
評価
通常、臨床試験からは除外されてきた腎移植レシピエントを対象とした前向試験であり、進行皮膚がんに対し、免疫抑制剤に加えてニボルマブ+イピリムマブを併用すると、一部の患者で完全奏効が認められた。
Cemiplimabを検証したもう一報(https://doi.org/10.1200/JCO.23.01498)とともに、腎移植レシピエントの皮膚がん治療に新しい一歩を記す研究である。