第Xa因子阻害薬関連の頭蓋内出血、アンデキサネットによる出血制御はPCCより良好:ANNEXA-I
Andexanet for Factor Xa Inhibitor-Associated Acute Intracerebral Hemorrhage

カテゴリー
救急医療、Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
May 2024
390
開始ページ
1745

背景

アンデキサネット アルファは、直接作用型第Xa因子阻害薬に関連した出血に対する初の特異的中和剤であるが、第Xa因子阻害薬に関連した脳内出血患者の出血コントロールにおいて、プロトロンビン複合体製剤(PCC)を上回るベネフィットを有するかは明らかでない。
カナダMcMaster UniversityのConnollyら(ANNEXA-I)は、世界23ヵ国で、発症15時間以内に第Xa因子阻害薬を服用していた急性頭蓋内出血患者を、アンデキサネット投与または通常ケアへと割り付け、止血効果(12時間の血腫体積の増大が35%以下、NIHSSスコアの増加が7ポイント以下、3〜12時間でのレスキュー治療なし)を比較するRCTを実施した(n=550)。

結論

有効性の評価は、452名を含む中間解析で行われた。第Xa因子阻害薬の適応としては心房細動が大半で、62.5%がアピキサバン、28.6%がリバーロキサバンであった。また、通常ケア群では85.5%がPCCの投与を受けた。
有効な止血はアンデキサネット群の67.0%、通常ケア群の53.1%で達成された(調整済み群間差 13.4%)。一方、血栓イベントはアンデキサネット群の10.3%、通常ケア群の5.6%で発生し、虚血性脳卒中はそれぞれ6.5%、1.5%であった。
30日時点でのmRSスコアや死亡に、群間差はなかった。

評価

アンデキサネットによる中和は、PCCを中心とした通常ケアと比して、より高い止血効果を示した。ただし、この効果は虚血性脳卒中を含む血栓イベントの増加とトレードオフであり、血腫拡大リスクに応じた選択が必要かもしれない。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)