代替塩が心血管リスクを減らす
Long-Term Effect of Salt Substitution for Cardiovascular Outcomes : A Systematic Review and Meta-Analysis
背景
代替塩(salt substitutes、低ナトリウム塩 low-sodium saltとも)は、食用塩に似た味の代替品であり、食塩の代替塩への置き換えは、ナトリウムの過剰摂取がもたらす高血圧・心血管疾患リスクに対する戦略として有望視されている。
オーストラリアBond UniversityのGreenwoodらは、システマティックレビューにより、代替塩の提供または代替塩使用の助言と、無介入または食塩の使用とを比較したRCTを特定し、心血管アウトカムへの長期的影響を評価するメタアナリシスを実行した。
結論
16件のRCTのうち、8件が一次アウトカムとして6ヵ月以降の死亡率・主要心血管イベント(MACE)・有害事象を報告していた。うち7件は中国または台湾での試験であり、7件は高齢者など、心血管リスクが平均より高い集団を対象としていた。
代替塩は、全原因死亡(6件, n=27,710, 率比 0.88)、心血管死亡(4件, n=25,050, 0.83)のリスクを低下させる可能性があった(いずれも低い確実性)。
また、代替塩はMACEをわずかに減少させる可能性があり(3件, n=23,215, 率比 0.85)、有害事象のリスクは明確ではなかった (6件, n=27,995, リスク比 1.04)。
評価
エビデンスの大半が中国農村部で行われた1件のRCTに由来しており(https://doi.org/10.1056/NEJMoa2105675)、エビデンレベルは低いものの、代替塩による全原因死亡・心血管死亡リスクの低減を支持した。
高所得国や、ベースの心血管リスクが高くない集団でも同じ結果が得られるかは、今後の検証課題となる。