急性心筋梗塞後のアポリポ蛋白A1静脈内投与は無益:AEGIS-II
Apolipoprotein A1 Infusions and Cardiovascular Outcomes after Acute Myocardial Infarction
背景
アポリポ蛋白A1(Apo-A1)の関与するコレステロール引抜きが、急性心筋梗塞(AMI)後の心血管イベント再発を抑制する、という仮説がある。
アメリカBeth Israel Deaconess Medical CenterのGibsonら(AEGIS-II)は、CSL112(血漿由来ヒトApo-A1)を用いてこの仮説を検証する国際第3相RCTを行った(n=18,219, 対照:プラセボ)。多枝病変その他の心血管高リスクAMI患者を対象として、発症後5日以内の初回静注後、週1回計4回静脈内投与した。一次エンドポイントは、無作為化後90日時点までのMI・脳卒中・心血管因死亡の複合である。
結論
一次エンドポイントイベントリスクに群間差を認めなかった。180日・365日後でも同様であった。有害事象の発現頻度に差はなかったが、過敏症イベントの報告は実薬群が多かった。
評価
CSL Behringの製剤で、先行2b相試験の有望結果を受けた大規模第3相試験だが、失敗した。コレステロール排出能の増進により、AMIの予後を改善できる、というコンセプト自体も疑問に付された。このクラスの薬剤の適応の全体的検討を促す結果である。