多枝病変のAMI患者にFFRガイド下で完全PCIを試みるべきか:FULL REVASC
FFR-Guided Complete or Culprit-Only PCI in Patients with Myocardial Infarction
背景
多枝冠動脈疾患を有する心筋梗塞(MI)患者に対するPCIを、冠血流予備量比(FFR)ガイド下で非責任病変にも行うべきかどうかは、重要な問題である。
スウェーデンKarolinska InstitutetのBohmら(FULL REVASC)は、STEMIまたは超高リスク非STEMIで、多枝病変を有する患者1,542名を対象として、これを検証する国際RCTを行った。責任病変に対する一次PCI施行時に、非責任病変のFFRガイド下完全血行再建を行う群と、責任病変以外の血行再建は行わない群に割り付けた。一次アウトカムは、全死因死亡・MI・予定外血行再建の複合である。
結論
追跡期間中央値4.8年で、一次アウトカムイベント発生率に群間差はなかった(19.0% vs. 20.4%)。二次アウトカムにも、安全性アウトカムにも群間差はなかった。
評価
このグループの患者に対して完全血行再建を勧めたCOMPLETEパラダイム(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1907775)の内部における、生理学的ガイダンスの有益性を検証する国際大規模試験である。5年で差がない、という報告は意外ともみられるが、主題の重要性に鑑み、参加者5,000人を超えるさらに大規模なCOMPLETE-2が企画され、進行している。