新しいLVOT軽減技法SESAMEの初期経験を初めて報告
Transcatheter Myotomy to Reduce Left Ventricular Outflow Obstruction
背景
肥大型心筋症(HCM)における左室流出路(LVOT)閉塞に対し、外科的・経カテーテル的処置法が提唱されているが、満足のゆくものではない。
アメリカNIHのLedermanら(SESAME)は、2012〜2023年に行われた、同グループによる新たな経カテーテル電気外科的筋切開術[正中心内膜に沿った中隔スコアリング(septal scoring along midline endocardium: SESAME)]の初期経験を報告している(n=76)。
結論
参加者の14%は古典的HCMによるLVOTのため、他の患者はTMVR/TAVRを容易にするため、SESAMEを受けた。SESAMEによる心筋開裂はすべて技術的に成功した。TMVR後のLVOT指標は有意に改善し(neo-LVOT 42 mm2 to 170 mm2; skirt-neo-LVOT 169 mm2 to 214 mm2)、HCM患者ではLVOT勾配が有意に低下した(resting: 54 mm Hg to 29 mm Hg; provoked 146 mm Hg to 85 mm Hg)。
手術生存率は97.4%で、3.9%に修復不要の異所性心室中隔欠損が発生、3.9%では心室自由壁穿孔が発生した(HCM治療患者では発生なし)。4名で恒久ペースメーカーが必要となった。
評価
年初のWashingtonDC学会で発表された、同技法のfirst-in-man症例シリーズ報告である。カテーテルによる高周波エネルギー印加で心筋を開裂させ切開溝を形成すると、時間経過に従い次第にLVOTが緩和する、という。著者らは、中隔縮小療法の最近の成績に匹敵し、TMVR促進目的ではその成績を凌駕する、という。注目の新技法である。