現代の急性心筋梗塞治療状況でのβ遮断薬の意味は:REDUCE-AMI
Beta-Blockers after Myocardial Infarction and Preserved Ejection Fraction

カテゴリー
循環器、Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
April 2024
390
開始ページ
1372

背景

心筋梗塞(MI)後におけるβ遮断薬の有益性は、治療状況の変わった現在、再検証が必要となっている。
スウェーデンLund UniversityのYndigegnら(REDUCE-AMI)は、この問題を検証する多国籍RCTを行った(n=5,020)。参加者は冠動脈造影確診の左室駆出率>50%以上の急性心筋梗塞(AMI)患者で、β遮断薬(メトプロロールまたはビソプロロール)の長期投与を行う群と行わない群に割り付けた。
一次エンドポイントは、全死因死亡・新規MIの複合である。

結論

追跡期間中央値3.5年で、一次エンドポイントに群間差を認めなかった(7.9% vs. 8.3%)。二次エンドポイントの各種累積発生率にも差はなかった。
安全性エンドポイントでは、徐脈・2度または3度房室ブロック・血圧低下・失神・ペースメーカー植込みのいずれかによる入院が、β遮断薬群の3.4%、β遮断薬非投与群の3.2%に発生し、喘息または慢性閉塞性肺疾患による入院がそれぞれ0.6%と0.6%、脳卒中による入院が1.4%と1.8%に発生した。

評価

現代の治療状況ではβ遮断薬使用に意義はないという仮説には、すでにメタアナリシスの支持もあるが、大規模RCTでその結論を確実なものにした。使用が必要な部分集団は何か(たとえばLVEF<50%患者や非PCI患者)という問題の解決が、次の課題となる。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(循環器)

Journal of the American College of Cardiology(JACC)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、American Heart Journal (AHJ)、Circulation、The Journal of the American Medical Association(JAMA)