PSA・カリクレイン・MRIによる3段階の前立腺がん検診:ProScreen試験
Prostate Cancer Screening With PSA, Kallikrein Panel, and MRI: The ProScreen Randomized Trial
背景
前立腺特異抗原(PSA)検査による前立腺がん検診は、前立腺がん(Pca)死亡を抑制する効果が認められているが、臨床的に重要でないPCaの過剰診断・過剰治療も引き起こすことから、検診戦略としては最適化の余地がある。
フィンランドTampere UniversityのAuvinenら(ProScreen)は、PCa歴のない50〜63歳の男性(n=61,193)を、PCa検診プログラムに招待する群と招待しない群へと1:3で割り付けるRCTを実施し、低悪性度(グレードグループ1)・高悪性度(2〜5)PCaの発症率に関する予備的結果を報告した。
本試験の検診プログラムは、最初にPSA検査を行い、3.0 ng/mL以上の参加者では4-カリクレイン・パネル検査を行い、パネルスコアが7.5%以上の参加者でMRI検査を行い、異常所見が認められた参加者で標的生検を行うものであった。
結論
検診招待群の51%が検診を受け、0.41%で低悪性度PCa、1.65%で高悪性度PCaが検出された。非参加者では、0.1%で低悪性度、0.6%で高悪性度PCaが検出された。
対照群では、中央値3.2年のフォローアップ期間中に、0.14%で低悪性度、0.62%で高悪性度PCaが検出された。
検出率の群間のリスク差は、低悪性度PCaで0.11%、高悪性度PCaで0.51%であった。
評価
検診プログラムの初回結果についての予備的報告である。PSAからMRIまでの3段階検診戦略により、高悪性度がんについては参加者196名につき1件、低悪性度がんは909名につき1件の検出増加がもたらされた。ただし、この戦略の真価を測るにはPCa(一次アウトカム)、低リスクPCa発症(過剰診断の指標)などの結果を待つ必要がある。

