抑うつ・疼痛のあるがん患者に遠隔での認知行動療法を行う
Patient, family caregiver, and economic outcomes of an integrated screening and novel stepped collaborative care intervention in the oncology setting in the USA (CARES): a randomised, parallel, phase 3 trial
背景
がんの治療においては、疾患からの生存だけでなく生活の質(QOL)も大きな目標となる。現在、抑うつ・疼痛・疲労といったがん患者の症状をスクリーニングし、ケアへ紹介することが推奨されているが、さまざまな障壁によって効果的に機能しているとはいえない。
アメリカUniversity of PittsburghのSteelらは、UPMC Hillman Cancer Centerと連携するがんクリニック29ヵ所で第3相RCTを行い、臨床的に抑うつ・疼痛・疲労を呈する成人患者に、段階的共同ケア(遠隔医療による週1回の認知行動療法、および十分効果が得られない場合には薬物治療)または標準ケア(スクリーニングと紹介)を割り付け、6ヵ月時点での健康関連QOLを比較した。
結論
患者459名、家族介護者190名が登録された。
段階的共同ケア群の患者では、0ヵ月から6ヵ月までの健康関連QOLの改善が大きく、健康関連QOLが維持されていた。
また、感情・機能・身体の各ウェルビーイングについても、標準ケア群よりも大きな改善を示した。
評価
遠隔での認知行動療法を中心とした介入は、健康関連QOLの維持・改善に役立った。介入の費用対効果も検討されており、再入院や救急外来受診などの減少により、コストはかえって低下すると考えられた。
有効性の乏しい現在の標準ケアを置き換えうるアプローチである。