冠動脈CT血管造影とAIで侵襲的冠動脈造影なしのCABGを実現?
Coronary bypass surgery guided by computed tomography in a low-risk population
背景
超高解像度の冠動脈CT血管造影(CCTA)にAIを用いることで、冠動脈バイパス移植術(CABG)を、侵襲的冠動脈造影(ICA)情報なしで、行えるのではないか。
アイルランドUniversity of GalwayのSerruysら(FAST TRACK CABG)は、これを検討する単群実現可能性研究を行った(n=114)。
CABG戦略は、冠循環の解剖学的構造と機能性を評価する中央コアラボが決定した。一次実現可能性エンドポイントは、ICAにアクセスせずに行われた手術の割合、安全性一次エンドポイントは、30日後のCCTAにおけるグラフト開存率である。
結論
参加者の解剖学的SYNTAXスコア平均値は43.6、STS scoreは0.81(SD 0.63)であった。ICA-HeartチームとCCTA-Heartチーム間の血行再建計画の一致率は82.9%(κ 0.58)、CCTA-Heartチームと実際の治療との一致率は83.7%(κ 0.61)であった。102名(91.9%)の30日追跡CCTAでは、開存率は92.6%、MACCEは7.2%、大出血は2.7%であった。
評価
準RCTにより、CABGに関する現在の重要課題を初めて本格的に検討し、「ICAなしで可能」という仮説を支持した重要な研究である。ただし、使用されたGEのRevolution CTは超高解像度で、通常のCTデバイスではない。AI解析はHeartFlowTMにより行われ、主パラメータはCTによるFFRであった。また、試験中には遠隔医療により、高解像度画像・データをCORRIB Core Lab と現場が共有した。Interventional Cardiologyの近未来を示す結果である。