TILは化学療法が不要な早期トリプルネガティブ乳がんを特定できるか
Tumor-Infiltrating Lymphocytes in Triple-Negative Breast Cancer
背景
トリプルネガティブ乳がん(TNBC)は、最も侵襲性が高く、再発・死亡の多い乳がんサブタイプであり、早期TNBCでは術前・術後化学療法が推奨されているが、バイオマーカーによって治療を最適化することはできるか?
アメリカMayo ClinicのLeon-Ferreらは、北米・ヨーロッパ・アジアの13施設から得た、術前・術後化学療法を受けなかった早期TNBC患者(n=1,966)の個別データを用いてプール解析を実施し、切除腫瘍組織の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)レベルと無浸潤性疾患生存率(iDFS)・その他のアウトカムとの関連を評価した。
結論
患者の年齢は中央値56歳、55%がI期TNBCであった。TILレベルは中央値15%であり、患者の21%がTILレベル50%以上、66%がTILレベル30%未満であった。
5年無遠隔再発生存率(DRFS)は、TILレベルが50%以上のI期TNBC患者で94%、TILレベル30%未満では78%であった。5年生存率(OS)は、それぞれ95%、82%であった。
TILレベルが10%増加するごとにiDFS(HR 0.92)、無再発生存率(0.90)、DRFS(0.87)、OS(0.88)は改善した。
評価
化学療法を実施しなかったTNBC患者の大規模コホートから、TILレベルが予後予測因子として機能することを明らかにした。高TIL患者では、化学療法の省略が妥当な選択肢となる可能性があり、今後、臨床試験による検証が行われることになる。