小児患者の親と臨床医は抗菌薬の不使用をどう捉えているのか?
Parent and Clinician Views on Not Using Antibiotics for Mild Community-Acquired Pneumonia
背景
未就学児の市中肺炎(CAP)はウイルス性の可能性が高いが、ルーチン的に抗菌薬治療が行われている現状がある。不必要な抗菌薬治療を減らすことができないのはなぜか?
アメリカUniversity of UtahのSzymczakらは、「抗菌薬不使用(no antibiotic)」戦略の障壁を明らかにするべく、2021年、同国の大規模小児病院で過去3年以内に軽症CAPと診断された小児の親(n=18)、および外来診療を行っている臨床医(n=20)を対象に、半構造化インタビューを実施した。
結論
「抗菌薬不使用」戦略について聞いたことのある親はいなかった。
不使用戦略への支持はさまざまで、3つの感情クラスターが特定された。
肯定的な感情として、不要な薬を使うことの害、医師への信頼、症状が悪化した際の対処(フォローアップ)への自信が挙げられた。
混合的な感情として、科学への信頼とわが子の病気との緊張関係に加え、根拠が明確で、他の薬が提案される等の条件付きでの許容、さらに過去の経験・肺炎理解との不一致による居心地が悪い(治療を放棄されたような)感覚が挙げられた。
否定的な感情としては、肺炎は常に抗菌薬を必要とするはずだという信念、わが子の症状が軽症とされることへの不同意、呼吸困難が改善するのであれば、不要な抗菌薬のリスクは許容されるという認識が挙げられた。臨床医の55%は、ルーチンな抗菌薬投与は不要とするガイドラインを知っていた。
不使用戦略への課題として、診断の不確実性、過小治療の悪影響、親の期待、フォローアップへの懸念、さらに一部の患者で有害アウトカムを回避するためなら、過剰な抗菌薬治療のリスクは許容されるという認識も挙げられた。
評価
インタビューを受けた親・臨床医の多くは、賢明な抗菌薬使用に同意していたものの、いくつかの心理的・社会的・ロジスティックな障壁も認められた。抗菌薬不使用戦略が正しく受け入れられるには、天下り的な実践変更では不十分かもしれない。


