冠性心疾患リスク因子はVTEのリスク因子になるか
Cardiovascular Risk Factors Associated With Venous Thromboembolism
背景
動脈系の冠性心疾患(CHD)リスクと静脈血栓塞栓症(VTE)リスクはどの程度関連しているのか。イギリスLondon School of Hygiene and Tropical MedicineのGregsonらは、ERFCコホート研究(n=731,728[75コホート])・UK Biobank(n=421,537)のデータを解析した。一次アウトカム・指標は、リスクファクターレベルとVTE・冠性心疾患の罹患(致死的・非致死的)である。
結論
CHDと共有するVTEのリスクファクターは、高齢(10年あたりのHR:ERFC 2.67、UK Biobank 1.81)・喫煙(10年あたりのHR:ERFC 1.38、UK Biobank 1.23)・BMI(BMI 1-SD上昇あたりのHR:ERFC 1.43、UK Biobank 1.37)であった。肥満を除き、これらのリスクファクターとVTEの関連はCHDとの関連より低度だった。
評価
幾度も提起されて最終回答のない問題に対し、ビッグデータにより「相当は重なる」という常識裏書き的な結論をもたらした。肥満以外の代謝性・高血圧系因子での重なりは明確でなく、動脈硬化促進因子とされるApoB・Lp(a)高値は逆にVTE低リスクと関連する、という仮説生成的所見も報告している。