世界の肥満のトレンドは明白:NCD-RisC報告
Worldwide trends in underweight and obesity from 1990 to 2022: a pooled analysis of 3663 population-representative studies with 222 million children, adolescents, and adults

カテゴリー
生活習慣病、Top Journal
ジャーナル名
The Lancet
年月
March 2024
403
開始ページ
1027

背景

NCD Risk Factor Collaboration: (NCD-RisC)は、生活習慣病の疫学に関する世界最大の研究ネットワークである。同組織のEzzatiら(英国Imperial College London)は、2億2,200万人が参加した3,663件の集団ベース研究のデータをに基づき、世界200の国・地域の成人および学齢児童・青年(5〜19歳)における、1990〜2022年の低体重・痩せ・肥満の個別および複合有病率とその変化を推定した。

結論

1990〜2022年に、成人における低体重と肥満の複合有病率は、女性では11ヵ国(6%)、男性では17ヵ国(9%)で減少した。複合有病率は、女性では162カ国(81%)、男性では140ヵ国(70%)で増加した。2022年では、低体重・肥満の複合有病率は、カリブ海・ポリネシア・ミクロネシア・中東・北アフリカ諸国で増加傾向が最も顕著であった。
肥満の有病率は、2022年には女性では177ヵ国(89%)、男性では145ヵ国(73%)で、低体重より高かった。1990〜2022年に、やせ・肥満の複合有病率は、女子では140ヵ国(70%)、男子では137ヵ国(69%)で増加した。
2022年に学齢児童・青年の痩せ・肥満の複合有病率が最も高かった国は、男女ともポリネシア・ミクロネシア・カリブ海、男子はチリ・カタールであった。2022年、学齢児童・青年における肥満は、女児では133ヵ国(67%)、男児では125ヵ国(63%)で、痩せよりも有病率が高かった。
成人、学齢児童・青少年ともに、ほとんどすべての国で、二重負担の増加は肥満の増加によって、二重負担の減少は低体重またはやせの減少によってもたらされた。

評価

戦争や内乱にも関わらず、世界の「肥満のパンデミック」のトレンドは明かで、著者らは、「1990年に世界の多くの地域の成人で顕著に認められた肥満の蔓延が、現在は学齢期の子どもや青少年にも認められるようになった」、としている。アフリカは栄養不足と肥満が二重負担になっている特異な地域で、韓国は代表的な低体重・肥満の複合有病率低値国であった。また、低体重者が増加したのは、日本と韓国の女性であった、という。完全なデータセットは、Global Health Observatoryで得られる
https://www.who.int/data/gho)。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(生活習慣病)

Journal of the American Medical Association (JAMA)、The New England Journal of Medicine (NEJM)、Lancet、Diabetologia、Diabetes Care (Diabetes Care)