定量的瞳孔指数で急性脳損傷の予後を予測する
The Neurological Pupil index for outcome prognostication in people with acute brain injury (ORANGE): a prospective, observational, multicentre cohort study

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
The Lancet Neurology
年月
October 2023
22
開始ページ
925

背景

急性脳損傷患者の評価には瞳孔の対光反射の測定も含まれるが、ペンライトを用いる通常の検査法は主観的である。神経学的瞳孔指数(Neurological Pupil Index:NPi)は、瞳孔記録計によって定量的に瞳孔径などを測定して産出される指標である(数値範囲は0.0~5.0、3.0未満で異常)。
スイスCHUV-Lausanne University HospitalのOddoらによるORANGE studyは、ヨーロッパ・北米の13施設で、外傷性脳損傷(n=224)・動脈瘤くも膜下出血(n=139)・頭蓋内出血(n=151)により、集中治療室に入室した患者を対象とした前向観察コホート研究であり、7日間4時間おきに患者のNPiを算出し、6ヵ月の神経学的アウトカム・死亡率との関連を評価した。

結論

1人あたり中央値40回、合計40,071回のNPi測定が行われた。患者の47%で、少なくとも1回の異常なNpi(< 3.0)が記録された。
異常なNPiは、神経学的不良アウトカム(GOSE ≦4)と関連しており(NPi異常の頻度が10%増加するごとに調整オッズ比 1.42)、院内死亡とも関連していた(調整ハザード比 5.58)。

評価

NPiは、最新の蘇生ガイドラインにも記載されている自動瞳孔測定デバイスで、NPiスコアの異常は急性脳損傷の予後悪化と関連した。シンプルな対光反射評価法で、モニタリングとアウトカム予測の改善につながる。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)