レジスタントスターチによる腸内細菌叢の調整でGVHDを予防できる?
Feasibility of a dietary intervention to modify gut microbial metabolism in patients with hematopoietic stem cell transplantation
背景
近年、さまざまな疾患と腸内細菌叢との関連がクローズアップされているが、食事への介入が腸内細菌叢を調整し、疾患経過を改善するかは明らかでない。腸内細菌叢は、同種造血幹細胞移植の後に生じる消化管移植片対宿主病(GVHD)も調整していると考えられているが、食事介入によって消化管GVHDを抑制できるだろうか?
アメリカUniversity of MichiganのRiwesらは、第2相試験の第一部として、同種造血幹細胞移植を受ける成人患者に対し、移植前7日目から100日目までレジスタントポテトスターチ(RPS)を投与して実現可能性を評価し、併せて腸内細菌叢と酪酸・その他代謝産物レベルに与える影響を検討した。
結論
10名中8名が予定投与量の70%以上の投与を受け、アドヒアランス目標が達成された。投与量は予定投与量の84%(中央値)で、RPSに起因する毒性は認められなかった。
便サンプル中の酪酸レベルはRPSを服用している期間で有意に高かった。血漿代謝産物での探索的解析では、RPSコホートとヒストリカルコントロールで代謝産物レベルの有意差は認められなかったものの、RPSコホートでは移植後の代謝産物の変化が安定していた。
評価
同種造血幹細胞移植後の、スターチ摂取は安全かつ実現可能であり、便中酪酸レベルの上昇と関連した。10名の参加者のうちGVHDを発症したのは1名のみで、本試験の続くパートでは、さらに多くの患者を登録してGVHD予防効果が検討される予定である。