経食道心エコー・POCUSで大動脈解離を診断
The sonographic protocol for the emergent evaluation of aortic dissections (SPEED protocol): A multicenter, prospective, observational study
背景
大動脈解離は致死的な病態だが、救急での初診時には見逃される場合も多い。CT血管造影が診断のスタンダードとされているが、簡易かつ時間のロスの少ない超音波検査の需要は高い。
アメリカTemple UniversityのGibbonsらは、臨床的に大動脈解離が疑われ、経食道心エコー(TEE)と腹部大動脈のポイント・オブ・ケア・エコー(POCUS)を受けた救急外来成人患者の便宜サンプルにおいて、Stanford A型を示唆する3つの超音波所見(心嚢液貯留・解離内膜フラップ・流出路径35 mm超)を含むSPEEDプロトコルの検査特性を評価した。
結論
1,314件のPOCUS検査が実施され、21名がStanford A型、23名がStanford B型大動脈解離と診断された。44名のうち、41名では3つの超音波所見のいずれかが認められた。
SPEEDプロトコルの感度は93.2%で、特異度は90.9%、陽性適中率は26.3%、陰性適中率は99.7%であった。精度91%であった。
評価
TEEとPOCUSの検査プロトコルは、この研究のサンプルで3件のB型大動脈解離を見逃したものの、全体として高い精度を示した。救急外来での迅速な診断に役立つ。