大腸がん検診を血液検査で:ECLIPSE試験
A Cell-free DNA Blood-Based Test for Colorectal Cancer Screening
背景
大腸がん患者では、腫瘍由来の遊離DNA(cfDNA)が血液中で検出されるが、cfDNA検査による大腸がん検診は可能か?
アメリカMassachusetts General HospitalのChungら(ECLIPSE)は、同国265施設で、45~84歳の大腸内視鏡検診の対象となる平均リスク成人を募集し、内視鏡検診前に血液サンプルを採取してcfDNA検査(Shield)を実施、大腸がんに対する感度とadvanced neoplasiaに対する特異度を評価する前向研究を実施した。
結論
検証コホートに含まれた10,258名のうち、7,861名が内視鏡・血液検査を適切に完了し、評価可能であった。
大腸内視鏡で検出された大腸がんに対するcfDNAの感度は83.1%で、I~III期の大腸がんに対する感度は87.5%、進行前がん病変(advanced precancerous lesions)の感度は13.2%であった。
大腸がん/advanced colorectal neoplasiaとも確認されなかった参加者のうち、89.6%がcfDNA陰性であった(特異度)。Nonadvanced precancerous lesionsまで含んだ大腸内視鏡陰性に対するcfDNAの特異度は89.9%であった。
評価
マルチターゲット便DNA検査による大腸がん検診の結果とともにNEJM誌に発表された(https://doi.org/10.1056/NEJMoa2310336)。早期大腸がんに対するcfDNA検査の精度は、便DNA検査と同様であり、大腸がん検診における選択肢の一つとなりうる。