ピロリ菌の感染は大腸がんとも関連する
Impact of Helicobacter pylori Infection and Treatment on Colorectal Cancer in a Large, Nationwide Cohort
背景
Helicobacter pyloriの感染は胃がんの発症に関与することが知られており、除菌により胃がん発症率は低下する。一方で、H. pylori感染と大腸がんとの関連は、胃がんの場合ほど明確ではない。
アメリカVA San Diego Healthcare SystemのShahらは、退役軍人保健局でH. pylori検査を完了した成人を対象とした後向コホート調査を行い、H. pylori検査の結果、および陽性者でのH. pylori除菌治療の有無と大腸がん発症率・死亡率との関連を評価した(n=812,736)。
結論
25.2%(205,178名)が、H. pylori陽性であった。
H. pylori陽性は大腸がん発症率(aHR 1.18)・大腸がん死亡率(1.12)と関連していた。また、陽性者がH. pylori治療を受けなかった場合、受けた場合と比較して大腸がん発症率(1.23)・死亡率(1.40)とも有意に上昇した。
評価
ピロリ菌の感染は、大腸がんの発症・死亡リスクを1〜2割上昇させ、除菌はリスクの軽減(絶対リスクで0.23%〜0.35%)と関連した。
ピロリ除菌と胃がんの関連を検証した中国のRCT(https://doi.org/10.1136/bmj.l5016)でも、大腸がん死亡リスクの低下が示唆されており、大腸がん予防戦略として検討される価値がある。