急性脳損傷後のVAPは単回セフトリアキソンで予防可能:PROPHY-VAP
Ceftriaxone to prevent early ventilator-associated pneumonia in patients with acute brain injury: a multicentre, randomised, double-blind, placebo-controlled, assessor-masked superiority trial
背景
急性脳損傷患者は人工呼吸器関連肺炎(VAP)のリスクが高くなる。SuDDICU試験の事後解析によれば、急性脳損傷に対する選択的消化管除菌(SDD)によって院内死亡率の有意な低下が認められているが(https://doi.org/10.1007/s00134-023-07261-y)、より短期間の抗菌薬治療によりVAPを予防することができるか?
フランスUniversite de PoitiersのDahyot-Fizelierら(PROPHY-VAP)は、同国8施設の集中治療室で48時間以上の人工呼吸管理を必要とする急性脳損傷後の昏睡患者を、挿管12時間以内のセフトリアキソンまたはプラセボの単回投与へと割り付け、7日目までのVAP発症率を比較する多施設RCTを実施した(n=345)。
結論
早期VAP発症率はセフトリアキソン群で14%、プラセボ群で32%と、セフトリアキソンにより有意に低下した(HR 0.60)。セフトリアキソンは微生物の構成などに検出可能な変化をもたらさず、有害事象もなかった。
評価
セフトリアキソンの予防的投与は、挿管を受ける脳損傷後の昏睡患者においてVAPの発症を4割抑制した。単回2gの投与で耐性菌のリスク増加も最小限と考えられ、合理的な選択肢と言えるだろう。