糖尿病患者は安静時心拍数が80以上だと心血管死亡リスクが倍増する
Resting heart rate and cardiovascular outcomes in diabetic and non-diabetic individuals at high cardiovascular risk analysis from the ONTARGET/TRANSCEND trials
背景
心血管リスクと安静時心拍数(RHR)との関連が示されてきているが、自律神経障害の多い糖尿病(DM)患者ではどうか。ドイツSaarland UniversityのBohmらは、ONTARGET・TRANSCEND試験参加者(55歳以上)のデータを解析した(n=30,937)。
結論
追跡期間中央値56ヶ月で、非DM患者と比較してDM患者は高度に有意にRHRが高かった(71.8 vs. 67.9)。RHR≧80 bpmの患者は、DMの有無に関わらずリスクが最も高く(HR:1.96[DM]、HR:1.73[非DM])、DM患者はRHR≧80 bpmの場合心血管死亡リスクが倍増した(1.99)。心筋梗塞・脳卒中に対するRHRのインパクトは大きくなく、心不全入院・全原因死亡へのインパクトが顕著だった。
評価
頻拍の心血管リスクが確認されてきているが、DM患者でその効果が顕著であることを大規模詳細データで明示した。DM患者では頻拍だけでなく心拍数硬直化も問題であり、血糖降下薬の心拍数柔軟化作用も注目されてきている(http://care.diabetesjournals.org/content/40/1/117)。