人工甘味料入り飲料の摂取は心房細動リスク?
Sweetened Beverages, Genetic Susceptibility, and Incident Atrial Fibrillation: A Prospective Cohort Study
背景
加糖飲料の心代謝疾患リスクが知られるが、心房細動(AF)に特定した関連報告はない。
中国Shanghai JiaoTong UniversityのWangらは、2006〜2010年英国バイオバンク登録時にAFのなかった201,856名の成人の食事アンケートデータと遺伝子データを統合し、加糖飲料(SSB)・人工甘味料入り飲料(ASB)・果汁(PJ)の摂取とAFリスクとの関連、および遺伝的感受性が、これらの関連を修飾するかどうかを評価する前向研究を行った。
結論
追跡期間中央値9.9年で、9,362名がAFを発症した。2L/週を超えるSSB・ASBの摂取は、AFリスク上昇と関連していた(HR各 1.10・1.20)。1L/週以下のPJ摂取とAFリスクとの間に負の関連が観察された(HR 0.92)。
AFのHRが最も高かったのは、ASBを2L/週以上摂取している遺伝的リスクの高い参加者で(HR 3.51)、HRが最も低かったのは、PJを1L/週以下摂取している遺伝的リスクの低い参加者であった(HR 0.77)。
SSB・ASB・PJの摂取とAFの遺伝的素因との間に、有意な相互作用は観察されなかった。
評価
ターゲットを絞ったUK BioBankデータの解析により、SSB・ASBの摂取が遺伝的素因と無関係にAFリスクを増すことを示した。糖尿病等の通常の危険因子の調整は不十分であり、著者らが示唆する「SSB・ASB摂取は従来のリスク因子を超えてAFリスクを予測する」は、仮説に留まる。

