頸動脈解離後の再発予防では抗凝固療法が有望?:STOP-CAD研究
Antithrombotic Treatment for Stroke Prevention in Cervical Artery Dissection: The STOP-CAD Study

カテゴリー
循環器
ジャーナル名
Stroke
年月
February 2024
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背景

頸部内頸動脈解離は6ヵ月以内の虚血再発リスクが高く、抗血栓療法による再発予防が推奨されているが、抗凝固療法と抗血小板療法の選択についてエビデンスは限られている。
アメリカAlpert Medical School at Brown UniversityのYaghiらは、世界16ヵ国63施設の後向観察研究により、重大外傷のない頸動脈乖離患者における抗血栓療法の種類と30日・180日アウトカム(虚血性脳卒中の再発または重大出血)の関連を比較・評価した(n=3,636)。

結論

11.1%が抗凝固療法のみ、67.5%が抗血小板療法のみを受けていた。180日目までに、患者全体の4.4%が虚血性脳卒中(うち87.0%が30日以内の発症)を、0.8%が重大出血を発症した。
逆確率重み付けによって調整すると、抗凝固療法は、30日以内(aHR 0.71)、および180日以内(0.80)の虚血性脳卒中リスクの低下と非有意に関連した。抗凝固療法は、30日以内の重大出血リスクとは非有意に(1.39)、180日以内の重大出血リスクとは有意に関連した(5.56)。
相互作用解析では、閉塞性解離患者での抗凝固療法は虚血性脳卒中リスクの低下と有意に関連した(0.40)。

評価

過去の小規模RCTはこの問題について結論を出せていない(https://doi.org/10.1001/jamaneurol.2019.0072)。本論文は後向ながら、これまでで最大規模のコホート研究により、抗凝固療法が、抗血小板療法と同等以上の効果を有することを示唆した。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(循環器)

Journal of the American College of Cardiology(JACC)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、American Heart Journal (AHJ)、Circulation、The Journal of the American Medical Association(JAMA)