高Lp(a)のMACEリスクはASCVDの有無にかかわらない
Lipoprotein(a) and Major Adverse Cardiovascular Events in Patients With or Without Baseline Atherosclerotic Cardiovascular Disease
背景
リポタンパク質(a)[Lp(a)]は、アテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)のリスク増加と関連するが,リスク評価のための最適な閾値は、ベースラインのASCVDの状態によって異なるか。
アメリカBrigham and Women’s HospitalのBlanksteinらは、2000〜2019年にかけて、ボストンの2つの医療センターでLp(a)を測定した患者を対象とする後向コホート研究により、この問題を検討した。
エンドポイントは、MACE(非致死的心筋梗塞・非致死的脳卒中・冠動脈血行再建術・心血管死亡)である(n=16,419、追跡期間中央値11.9年)。
結論
ベースラインでASCVDが確定していた62%の患者で、Lp(a)71〜90パーセンタイル群ではMACEのリスクが21%上昇し、これは91〜100パーセンタイル群(aHR 1.26)と同様であった。ASCVDが確立していななかった残りの患者でも、Lp(a)増に対するMACEリスクの連続的上昇を認め、91〜100パーセンタイル群でaHRは1.93であった。
評価
一次・二次予防で考慮すべき基本的な問題に関し、高Lp(a)値のリスクがベースラインのASCVDステータスとは関係がない、という明快な回答を与えた。Lp(a)をターゲットとして行われているLp(a)HORIZON(https://clinicaltrials.gov/study/NCT04023552)やOCEAN(a)-Outcomes(https://classic.clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT05581303)等にも示唆を与える結果である。