肥満を伴う2型糖尿病患者に対する肥満手術の長期効果:メタアナリシス
Long-Term Outcomes of Medical Management vs Bariatric Surgery in Type 2 Diabetes
背景
肥満を伴う2型糖尿病(T2D)患者に対する肥満手術の効果に関しては未だ確認が必要な状況である。
アメリカUniversity of PittsburghのCourcoulasら(ARMMS-T2D)は、2007年5月〜2013年9月に実施された同国の単施設RCT4件からのプール解析とその後2022年7月までの観察追跡調査を行った(n=262)。
肥満手術群はルーワイ胃バイパス術・スリーブ状胃切除術・調節性胃バンディング術の3手法のいずれか1つに無作為に割り付けられていた(対照群:薬物介入および生活習慣管理)。
一次アウトカムは、全参加者におけるベースライン後7年でのHbA1cの変化である(追跡期間中央値11年)。
結論
追跡期間中に、対照群の25%が肥満手術に転換した。
一次アウトカムにおいて、肥満手術群は対照群と比較して優れた血糖コントロールをもたらした(HbA1cの群間差:7年で-1.4%, 12年で-1.1%)。血糖降下薬の使用量も減り、T2D寛解率も高かった。
死亡および主要心血管有害事象の発生率には差がなかった。貧血・骨折・胃腸関連の有害事象は、肥満手術群で多かった。
評価
肥満手術の有効性に関してはRCTの質に問題があり、同手法が一般化した現在でも本論文ような確認的な研究が必要である。ブロックバスター化した抗肥満薬の肥満手術へのインパクトは、まもなく明らかになろう(https://www.nature.com/articles/s41366-024-01461-2)。