アフェレーシス前のベンダムスチン投与はCAR-T細胞療法のアウトカムに悪影響
Recent Bendamustine Treatment Before Apheresis Has a Negative Impact on Outcomes in Patients With Large B-Cell Lymphoma Receiving Chimeric Antigen Receptor T-Cell Therapy

カテゴリー
がん
ジャーナル名
Journal of Clinical Oncology
年月
January 2024
42
開始ページ
205

背景

ベンダムスチンは再発・難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(r/r DLBCL)への併用療法で効果を示している。一方、ベンダムスチンによるリンパ球減少が、キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法のためのT細胞の採取に支障を生じさせる可能性が指摘されており、エキスパート・オピニオンはアフェレーシス前のベンダムスチン投与を回避することを推奨している(https://doi.org/10.1016/j.bbmt.2019.08.015)。
スペインUniversity Hospital Vall d'HebronのIacoboniらは、ヨーロッパ7施設でCD19標的CAR-T細胞療法を受けたr/r DLBCL患者を対象とした後向研究として、アフェレーシス前のベンダムスチン曝露がCAR-T細胞療法のアウトカムに与える影響を評価した(n=439)。

結論

80名がアフェレーシス前にベンダムスチンの投与を受けていた。
ベンダムスチン曝露患者では、非投与患者と比較してアフェレーシス時のCD3+細胞・血小板が有意に少なく、全奏功率が低く(53% vs. 72%)、無増悪生存期間(3.1ヵ月 vs. 6.2ヵ月)、全生存期間(10.3ヵ月 vs. 23.5ヵ月)が短かった。
アフェレーシス前のウォッシュアウト期間に焦点を当てると、9ヵ月以内にベンダムスチン曝露のあった患者(n=42)では、非投与患者と比較して全奏功率(40% vs. 72%)、無増悪生存期間(1.3ヵ月 vs. 6.2ヵ月)、全生存期間(4.6ヵ月 vs. 23.5ヵ月)とも悪化し、この差はベースライン変数の調整後も有意であった。

評価

CAR-T細胞療法はr/r DLBCL治療に革命をもたらしたが、持続的な寛解がもたらされるのは半数に満たず、有効性に関連する因子の探索が急務である。
本研究は、アフェレーシス前9ヵ月以内にベンダムスチン投与を受けた患者で、CAR-T細胞療法の有効性が顕著に阻害されることを明らかにした。CAR-T細胞療法の候補患者では可能な限り、ベンダムスチン投与を避けることが合理的判断となるだろう。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)