Atrial Cardiopathyによる脳塞栓症の再発予防はアスピリンでよい:ARCADIA試験
Apixaban to Prevent Recurrence After Cryptogenic Stroke in Patients With Atrial Cardiopathy: The ARCADIA Randomized Clinical Trial
背景
近年の研究は、臨床的に明確な心房細動(AF)を認めない場合でも、左房異常(atrial cardiopathy)によって脳塞栓症が引き起こされることを示唆しており、塞栓源不明な脳塞栓症(ESUS)の一部を説明するとみられている。Atrial cardiopathyによる脳卒中患者での最適な再発予防戦略はどのようなものか?
アメリカWeill Cornell MedicineのKamelら(ARCADIA)は、心原性脳塞栓症を有し、心電図(V1のP波後期成分)・血清NT-proBNP・UCG(左房径)からatrial cardiopathyと判断された患者を対象として、1日2回5 mgないし2.5 mgのアピキサバン、または1日1回のアスピリンへと割り付け、脳卒中の再発予防効果と出血リスクを検証する第3相多施設共同DBRCTを実施した。
結論
1,015名が登録された時点で(目標1,100人)、中間解析の結果、無益性のために試験は中止となった。
脳卒中再発は、アピキサバン群で40件(年率4.4%)、アスピリン群で40件(年率4.4%)と差がなかった。症候性頭蓋内出血はアピキサバン群で0件、アスピリン群で7件(年率1.1%)発生し、その他の大出血はアピキサバン群で5件(年率0.7%)、アスピリン群で5件(年率0.8%)発生した。
評価
Atrial cardiopathyというコンセプトに基づいた初の第3相検証であったが、DOACによる抗凝固療法にアスピリンを上回るベネフィットは認められなかった。現在までのところ、ESUSを抗凝固療法によって治療する必要はない。