Tenecteplaseは4.5時間を超えた脳主幹動脈閉塞にベネフィット示せず:TIMELESS試験
Tenecteplase for Stroke at 4.5 to 24 Hours with Perfusion-Imaging Selection

カテゴリー
救急医療、Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
February 2024
390
開始ページ
701

背景

急性期脳梗塞への血栓溶解療法は、現在、発症から4.5時間の患者が適応となっているが、この治療ウィンドウをさらに広げることはできるか?2019年のメタアナリシスは、画像的に選択された発症後4.5〜9時間の患者で血栓溶解療法が有益であることを示唆している(https://doi.org/10.1016/S0140-6736(19)31053-0)。
アメリカStanford UniversityのAlbersら(TIMELESS)は、最終健常確認時刻から4.5〜24時間の中大脳動脈・内頸動脈閉塞で、かつ救済可能な脳組織を有する虚血性脳卒中患者を対象に、tenecteplase(0.25 mg/kg)とプラセボを割り付け、90日後の修正ランキンスケールの順序スコア(一次アウトカム)および死亡・症候性頭蓋内出血(安全性アウトカム)を比較する多施設RCTを実施した(n=458)。

結論

77.3%の患者は、続いて血栓回収療法を受けた。最終健常確認時刻からランダム化までの時間は、tenecteplase群で約12時間、プラセボ群で約13時間であった。
90日後のmRSスコアの中央値は、両群とも3で、調整共通オッズ比は1.13であった(非有意)。90日死亡はtenecteplase群の19.7%、プラセボ群の18.2%、症候性頭蓋内出血はそれぞれ3.2%、2.3%で発生した。

評価

4.5時間を超えた主幹動脈閉塞におけるtenecteplaseの有効性はみられなかった。事前指定サブグループ解析でも、中大脳動脈M1閉塞の患者でベネフィットが示唆された以外、差は認められなかった。4.5時間以降でのtenecteplaseの有効性を検証する試験は、ETERNAL-LVO試験(https://clinicaltrials.gov/study/NCT04454788)をはじめ、さらに複数進行している。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)