スポーツ時の頭部外傷とスポーツ以外での頭部外傷、予後に違いは?:CENTER-TBI研究
Contrasting Characteristics and Outcomes of Sports-Related and Non-Sports-Related Traumatic Brain Injury
背景
スポーツに関連した軽症頭部外傷は、一般的な軽症頭部外傷よりも予後が良いことを示唆するデータがあるが、両者を直接比較した研究は少ない。
イギリスUniversity of StirlingのNtikasらは、世界18ヵ国でCT適応を有する外傷性脳損傷(TBI)患者を登録した観察コホート研究、Collaborative European NeuroTrauma Effectiveness Research in TBI studyにおいて、スポーツ関連TBIと非スポーツ関連TBIの3ヵ月・6ヵ月アウトカムを評価・比較した(n=4,360)。
結論
6%にあたる256名がスポーツ関連TBIであった。スポーツ関連TBIの患者はより若く、教育レベルが高く、健康で、頭部以外の重大な損傷は少なかった。
患者全体、軽症TBI患者、軽症かつCT陰性患者のいずれにおいても、6ヵ月後の不完全回復(Glasgow Outcome Scale-Extendedが8未満)にスポーツ関連TBIと非スポーツ関連TBIの群間差は認められなかった。6ヵ月後の不完全回復率は、スポーツ関連TBI群で46%、軽症のスポーツ関連TBI群で39%、軽症・CT陰性のスポーツ関連TBI群で31%であった。
一方、不安・抑うつ・心的外傷後ストレス障害・脳震盪後症状は、スポーツ関連TBI群で有病率が低かった。
評価
スポーツ関連のTBIは、メンタルヘルス・脳震盪後症状などでは、より良好な回復を示したにもかかわらず、機能的アウトカムについては非スポーツ関連TBIと差がなかった。過度な楽観を戒め、フォローアップの重要性を強調するデータである。