院外心停止での病院前二次救命処置はアドレナリン・ファースト
Sequence of Epinephrine and Advanced Airway Placement After Out-of-Hospital Cardiac Arrest
背景
一次救命処置に反応しない院外心停止(OHCA)患者では、心肺蘇生に加えて二次救命処置(ALS)が必要となる。アドレナリン投与と気管挿管などの高度な気道確保は、いずれも一般的な病院前介入であるが、何を優先すべきかは確定していない。
アメリカUniversity of PittsburghのOkuboらは、日本全国のOHCA例を登録するAll-Japan Utstein Registryでの後向解析を行い、2014年から2019年に救急救命士によるアドレナリン投与・高度な気道確保を受けたOHCA成人患者で、アドレナリン投与と高度な気道確保の順番が1ヵ月生存率に与える影響を評価した(n=259,237)。
結論
8.3%がショック適応、91.7%がショック不適応リズムであった。
逆確率重み付けによる調整後、アドレナリン・ファースト群では、ショック適応患者(オッズ比 1.19)、ショック不適応患者(1.28)の双方で1ヵ月生存の確率が高かった。アドレナリン・ファースト群では、機能的良好な1ヵ月生存、病院前の自己心拍再開の可能性も高まった。
評価
消防庁の全国ウツタインデータを用いた解析で、大半の患者が先に高度気道確保を受けていたにもかかわらず、アドレナリン・ファーストの方が予後が良いことを明らかにした。実践の再考を迫るエビデンスとなる。