低用量カルベジロールで小児がんサバイバーの心毒性を二次予防する:PREVENT-HF
Effect of carvedilol versus placebo on cardiac function in anthracycline-exposed survivors of childhood cancer (PREVENT-HF): a randomised, controlled, phase 2b trial
背景
アントラサイクリン系抗がん剤による心毒性は、小児がんを生き延びた患者に残された大きな問題となる。
アメリカCity of Hope Comprehensive Cancer CenterのArmenianら(PREVENT-HF)は、北米30施設で、がん診断歴を有し、21歳までに累計250 mg/m2以上のアントラサイクリン系薬剤の曝露があり、2年前までにがんの治療が完了し、左室駆出率50%以上または左室内径短縮率25%以上、またはその両方の患者を、2年間の経口カルベジロールまたはプラセボへと割り付け、左室壁厚/内径比Zスコア(LVWT/Dz)への影響を評価する第2b相RCTを実施した(n=182)
結論
標準化LVWT/Dzは、カルベジロール群-0.14、プラセボ群-0.45で有意差はなかった。
カルベジロール群では2名(2%)でグレード2以上の有害事象がみられた(プラセボ群は0名)。グレード3以上の有害事象、死亡は発生しなかった。
評価
小児がんサバイバーでの心毒性治療では、過去にエナラプリルを検証するRCTが実施されたことがある(https://doi.org/10.1200/JCO.2004.06.022)。本試験のカルベジロールは、一次エンドポイントについて有意な差を示なかったものの、左室収縮終期圧壁応力は改善しており、さらなる検証は正当化されるだろう。


