下肢外傷ギプス固定後の抗凝固療法は大半の患者で回避可能:CASTING試験
Targeted prophylactic anticoagulation based on the TRiP(cast) score in patients with lower limb immobilisation: a multicentre, stepped wedge, randomised implementation trial

カテゴリー
救急医療、Top Journal
ジャーナル名
The Lancet
年月
February 2024
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開始ページ
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背景

非観血的固定を必要とする下肢外傷は救急外来で一般的だが、一部の患者では外傷による血管損傷、凝固亢進に加えて固定によるうっ滞もあり、静脈血栓塞栓症のリスクが高まる。TRiP(cast)スコアは、下肢ギプス固定後の静脈血栓リスクを層別化するツールである(https://doi.org/10.1371/journal.pmed.1001899)。
フランスUNIV AngersのDouilletら(CASTING)は、フランス・ベルギーの救急外来15ヵ所を対象に、ギプス固定を受けた下肢外傷患者に対する通常の抗凝固療法処方(対照期)からTRiP(cast)スコアに基づく処方(介入期:7未満では処方なし)へと、ランダムに割り付けられた順番で切り替えるステップウェッジ方式の多施設RCTを実施した。

結論

2020/6〜2021/9に、2,120名の患者が登録された。介入期の1,505名のうち、1,159名(77.0%)はTRiP(cast)スコアが7未満で、抗凝固療法を受けなかった。症候性静脈血栓塞栓症は、0.7%で発生した。症候性静脈血栓塞栓症の累積発症率や出血率に群間差はなかった。

評価

TRiP(cast)スコアに基づき、血栓症リスクが非常に低い患者を特定可能であった。この意思決定ツールにより、患者の3/4で安全に抗凝固療法を回避できる。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)