LVO脳梗塞での血栓回収前の血栓溶解療法は、早ければ早いほど良い:メタ解析
Time to Treatment With Intravenous Thrombolysis Before Thrombectomy and Functional Outcomes in Acute Ischemic Stroke: A Meta-Analysis
背景
脳梗塞に対する静脈内血栓溶解療法(IVT)の効果は、発症からの時間経過に従って低下するが、血管内血栓回収療法に先立ってIVTを行う場合でも同様の時間依存性があるのか。
スイスUniversity Hospital BernのKaesmacherらは、急性虚血性脳卒中患者を対象に、IVT+血栓回収療法と血栓回収療法を比較したランダム化比較試験、6件の患者個別データを用いたメタアナリシスを実施し、前方循環系主幹動脈梗塞例(n=2,313)における発症からIVT開始までの時間と各治療の有効性との関連を検討した。
結論
症状発現からIVT予定開始時刻までの時間は中央値2時間28分であった。
割り付け治療群とアウトカムとの関連には、IVT投与までの時間と有意な相互作用が認められた(1時間あたりの調整共通オッズ比の比 0.84)。IVT併用のベネフィットは、症状発現からIVT投与までの時間が長くなるに従い減少した。90日良好アウトカム(mRSが0〜2)についての予測される絶対リスク差は、1時間で9%、2時間で5%、3時間では1%となった。発症2時間20分後には、IVT併用のベネフィットは統計的に有意でなくなり、3時間14分後には点推定の差がなくなった。
評価
昨年発表されたメタアナリシスでは、IVT併用のベネフィット自体が微妙であったが(https://doi.org/10.1016/S0140-6736(23)01142-X)、IVTまでの時間を考慮したこのメタアナリシスは、IVTブリッジングのベネフィットが早期では、より明確かつ時間経過によって失われることを確認した。