脳梗塞へのステロイドを再検証、死亡率が低下:MARVEL試験
Methylprednisolone as Adjunct to Endovascular Thrombectomy for Large-Vessel Occlusion Stroke: The MARVEL Randomized Clinical Trial
背景
脳梗塞急性期でのコルチコステロイドは、かつて脳浮腫の予防・治療を目的として使用されており、80年代・90年代にはRCTによる検証も複数行われたが、有効性は認められず(https://doi.org/10.1002/14651858.CD000064.pub2)、現在は推奨されていない。
中国Xinqiao HospitalのYangら(MARVEL)は、同国82施設で、発症24時間以内に来院し、主幹動脈閉塞の血栓回収療法を受けた急性虚血性脳卒中患者を、3日間のメチルプレドニゾロン(2 mg/kg/日)またはプラセボ静注へと割り付け、90日後の修正ランキンスケール分布(一次有効性アウトカム)、および90日死亡、48時間以内の症候性頭蓋内出血(一次安全性アウトカム)を比較するRCTを実施した(n=1,680)。
結論
90日後の修正ランキンスケールは、両群とも中央値3であった(調整一般化オッズ比 1.10)。
メチルプレドニゾロン群では、プラセボ群と比して死亡率が低く(23.2% vs. 28.5%, 調整リスク比 0.84)、症候性頭蓋内出血の発生率も低かった(8.6% vs. 11.7%, 0.74)。
評価
過去最大規模、かつ血栓回収療法が登場して以降では初の検証で、死亡率と頭蓋内出血についてメチルプレドニゾロン群での有意な低下を認めた。有意差がなかったmRSスコアの分布についても、オッズ比はメチルプレドニゾロンに優位な傾向を示しており、血栓溶解・血栓回収療法の時代に改めて検証されるべき補助療法かもしれない。