NAFLD・2型糖尿病患者に対するGLP-1受容体作動薬の心血管イベントへの有益性を確認:最大のコホート研究  
  
    Cardiovascular and mortality outcomes with GLP-1 receptor agonists vs other glucose-lowering drugs in individuals with NAFLD and type 2 diabetes: a large population-based matched cohort study  
    
  
背景
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)・2型糖尿病(T2D)患者に対するGLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)の、他の血糖降下薬と比較した際の新規発症有害心血管イベント(CVE)・死亡リスクへのインパクトは。
アメリカJohns Hopkins UniversityのKrishnanらは、TriNetXデータに基づく集団ベースマッチドコホート研究を行った(n= 2,835,398)。
一次アウトカムは、心不全を含む有害CVEの新規発症、主要有害心血管イベント(MACE,:不安定狭心症・心筋梗塞・冠動脈処置/手術)の複合、および複合脳血管イベント(脳卒中・一過性脳虚血発作・脳梗塞・頸動脈インターベンションまたは手術)である。
結論
SGLT2阻害薬と比較した場合、GLP-1RAは、新規発症心不全(HR 0.97)・MACE(HR 0.95)・複合脳血管イベント (HR 0.99)に関し差がなく、死亡率にも差がなかった。しかし、他の第二選択・第三選択血糖降下薬と比較した場合、GLP-1RAは、心不全(HR 0.88)・MACE(HR 0.89)・複合脳血管イベント(HR 0.93)・全死因死亡(HR 0.70)で優った。
評価
このテーマに関する最大の後向研究で、NAFLD・T2D患者に対する GLP-1RAの心血管イベントへの有益性を確認した。SGLT2阻害薬とは差がないが、特にメトホルミンより有益である、という情報は実臨床においても有益である。

